ノンアメリカニゼーション。

ごく普通の日本人がアメリカの田舎で生きていく記録。


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ごく普通の日本人がアメリカで生きていく記録。


アメリカの大学院:質問コーナー

ご無沙汰しています.最近少し忙しくて3ヶ月もブログを放置してしまいました...


今学期もなんとか無事に終わり,少しずつ時間に余裕が出てきたのでまたブログを書いていこうと思います.ちなみに今学期で授業を全て取り終えました!あと2年間ほど研究をして卒業する予定です.長い…



以前,「アメリカの大学院:出願編」という記事に,アメリカの大学院に出願するにあたって必要な基本的な情報をまとめました.この記事に,何件か読者様から質問を頂いたので,その質問・回答をまとめておきたいと思います.アメリカの大学院受験を目指している方は皆が気になる質問だと思うので,ぜひぜひ参考にしてみてください.







こんにちは。
私はこの4月から大学一年生になった者です。
農学部です。日本の大学卒業後にアメリカの大学院に行きたいと思っているのですが一年のうちから対策始めた方がいいですか?あと費用はどのくらいかかりますか?


俺が大学院受験を考え始めたのは,大学2年の秋ごろ.他のアメリカの大学院受験経験者と比較しても,割と早い段階で受験に向けて準備を始めていた.それでも大学時代はサークル・授業・バイトなど色々とやることも多かったため,準備がギリギリになってしまったというのが実情.自分の経験から言うと,準備は早いに越したことはない.行きたいと思っているならば大学一年のうちから準備を始めるべきだと思う.


大学1年生から準備を進めた場合,情報収集にもたっぷり時間を割くことができる.米国大学院学生会(http://gakuiryugaku.net/)という団体がアメリカの大学院(主に博士)に進学する方への説明会を無料で開いている.俺も最初は海外の大学院受験について詳しいことは何も分からなかったため,説明会で貴重な情報を得ることが出来た.時間と度胸とお金があれば,春休みや夏休みを利用してアメリカの大学を訪問して自分の行きたい学科のスタッフや教授に話を聞いてもらうこともできるだろう.受験前に自分を直接教授にアピールできれば,他の受験者にかなり差をつけられる.


受験を終えるまでの実際にかかった費用は,

  • 教材費:4万円
  • TOEFL, GRE受験費:10万円(TOEFL3回,GRE1回)
  • 出願費用:3万円(7校出願)
  • エッセイ校正サービス使用料:2万円.

予備校に通ったりすると,それだけで数十万円かかってくる.金銭的に余裕がない場合は,TOEFLGREを独学で乗り切るために,できるだけ早く準備を始めることが大切.逆に大学4年生になってアメリカの大学院を目指し始めた人は,予備校の力を借りて短期間で準備をした方が賢明だろう.


受験を終えてから実際に卒業するまでには,最低でも100万円〜200万程度は必要だろう.基本的に博士課程の大学院生は学費と生活費が大学から支給されるため大きな出費はないのだが,渡航費や最初の生活準備費(車・家具など)は必要になる.院生の給料は割とカツカツなので,外食や旅行などをしてしまうと赤字になってしまう.遊びも程々に…



はじめまして。
僕は今年から大学1年になります!文系です。
僕は将来海外で働きたいと思ってます!アメリカの大学院に行けば海外で働く、海外で就職に一歩でも近づけるのではないかと考えてます!
確実に大学でやるべきことを教えてください!
それと授業料があまりかからないというのを読んだのですが少し詳しく教えていただきたいと思いコメントしました。
ごーとさんは理系ということで文系もそのような制度があるのでしょうか…
コメントの返信よろしくお願いします。


アメリカで修士・博士を取れば,アメリカで就職するための敷居はかなり低くなるだろう.アメリカでは,Optional Practical Training(OPT)と呼ばれるシステムがあり,学位を取得した学生は1年間は就労ビザ(H1Bビザ)がなくても働くことができる.OPTの期間に就労ビザや永住権(グリーンカード)を取得し,その後も働き続けるケースも多い.詳細はココには記載しないが,日本語でもOPTに関して説明しているサイトはたくさんあるので,ぜひ調べてみてほしい.OPTやビザの仕組みは複雑な上に仕様変更もあるので,最新情報をしっかりチェックしてほしい.


アメリカの大学院に進学するためにとりあえず学部時代にやっておくべきことは,

  • 成績をキープ(GPA3.5以上キープしておきたい)
  • TOEFLGREに向けて英語の勉強.

どちらも仮にアメリカの大学院に進学しなかったとしても,将来きっと役立つはず.日本で就職するにしても,成績は良いに越したことはないし(あんまり関係ないけど),英語も勉強しておいて損はない.まだ実際に留学するかどうか迷ってる人も,日頃の大学の授業を大切にして,空いた時間に英語を勉強することから始めてみてはどうだろう?


一つ前の質問でも書いたとおり,理系の博士課程の学生には,基本的にResearch Assistant(RA)やTeaching Assistant(TA)の仕事をすることで学費+給料(生活費)が大学から支給されるため,実際にはあまりお金を払う必要はない.文系(文学・歴史学・考古学・哲学など)でも博士課程の場合には,このような仕組みを取っている場合が多い.しかし理系に比べ,教授の研究費も少ないこともあり,支給される金額は少ない傾向にある.学科や研究室によってシステムや経済状況は全く異なるので一概には言えないが,平均的に文系の博士学生の方が給料は少ない.また,大学のレベルがあまり高くないところは,理系ですら給料がもらえない場合もあるので注意.ちなみに日本では何故か文系に分類されている,経済学・経営学の博士課程の学生は,結構ガッツリ給料をもらっている.


はじめまして,いきなりの投稿失礼致します.
私は現在工学系の学部に在籍しており,春から4年生です.
就職活動をするにあったって,企業研究や自己分析をしていたのですが,何故かピンとこなくてどうしようかと考えているときに,アメリカの大学院留学に興味を持ち,このブログを拝見しました.
しかし,アメリカの大学院留学をしようと考え始めたのは本当につい最近で,GREは言うまでもなくTOEFLiBTすら受けたこともありません.
こんな状況でもこの冬に出願して合格する希望はありますでしょうか...
正直,GPAも高くないです...
やはり国内の大学院に進学してTOEFLGREの勉強しつつGPAも上げてから出願するほうが懸命でしょうか.
ごーとさんの意見をお聞かせください!X(
よろしくお願いいたします.


参考までに,自分の出願スケジュールを大まかに書いておくと,

  • 大学2年
    • 秋:アメリカの大学院出願を決意.無料の説明会に行き情報を集め始める.単語の勉強を始める.
  • 大学3年
    • 春:TOEFLの勉強を本格的に始める.Readingメイン.
    • 秋:TOEFL受験1回目(77点 R:25 L:20 W:18 S:14).Reading以外の勉強に重点を置く.
    • 冬:TOEFL受験2回目(97点 R:28 L:25 W:25 S:19).引き続きReading以外の勉強.
  • 大学4年
    • 春:TOEFL受験3回目(97点R:30 L:23 W:22 S:22).ここでGREに切り替える.単語中心の勉強.
    • 夏:GRE受験1回目(Verbal153点,Quantitative168点,AWA3.5点).これ以上は厳しそうだったのでGRE終了.
    • 秋:その他の出願書類準備(Statement of Purpose,CV,推薦状依頼など).
    • 冬:出願.

大学2年生時点での英語力はTOEIC600点弱と微妙なレベルで,予備校にも行かなかったこともあり,TOEFLGRE対策にダラダラと時間を費やしてしまった.質問者様は大学4年生の春ということだが,そこからでもアメリカの大学院の出願には間に合うと思う.しかし,現段階での英語力や,どこまで出願準備に時間を割けるのかに大きく左右されるだろう.大学院の情報収集と平行して,10月頃までにTOEFLGREの試験を終わらせるのを目標に進めてみると良いと思う.金銭的に余裕がある人は,ある程度勉強したらあとは何回もTOEFLを受けて,実践で慣れていくのも手かもしれない.ただ,受験料が2万円以上するので,あまりお薦めはできないが…


GPAに関しては,上位の大学だと入学条件にGPA3.0を条件としている学校が多い.ただ,3.0を下回っているからといって入学出来ないわけでもない.たとえば,専門科目でのGPAが4.0だったり,研究で秀でた成果を出していたり,良い推薦状をもらっていたり…とにかく他でカバーすればGPAが3.0に足りていなくても合格することはできる.現状を踏まえ,自分のGPAを補う要素があるかどうか考えてみると良いだろう.現在4年生ということは,研究室に配属されたはずなので,まずは指導教授に話を伺ってみるのが良いだろう.指導教授に知り合いにアメリカの大学の教授がいれば,そのコネクションを使わない手はない.指導教授だけでなく,授業等で知り合った教授に話を伺ってみるのも良いと思う.有益な情報を得ることもできるし,後々推薦状を書いてもらうこともできるかもしれない.


勿論,日本で修士課程に進み,英語力・研究実績・成績・人脈などじっくりと準備するのも手.知り合いの中に,修士に進んだおかげで,学部卒のときには入れなかったであろうアメリカのトップスクールの大学院に進学した人もいる.しかし個人的には,学部卒で行った方が2年早く卒業できるため,行けるなら学部卒で留学した方が良いと思う.まずは自分の現状を把握し,学部卒での留学を目指して準備を進めて行くと良いだろう.準備の段階で,学部卒の留学が難しいと判断したら,修士卒での留学を念頭に置いて準備を進めていくと良いだろう.





いかがでしたか?また留学に関する質問がありましたら,ぜひぜひコメントしていってください.少しでもアメリカの大学院留学のことを知ってもらって,一つの選択肢として考えてもらえたら嬉しいです.楽しいことばかりの留学ではありませんが,長い人生の中のたった5年間,アメリカで学んでみるのも良いかもしれませんよ.